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【スターメディア通信】 2015.8.31.第59号
I.  意思の選択、ネイタルとマンデンの影響
II. ホラリーの鑑定前の考察より 土星第7ハウス
III. 古典占星術通信講座の御案内
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I.  意思の選択、ネイタルとマンデンの影響
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古典占星術への誤解には次のようなものがあります。

1. 未来は固定不動で決まっているので鑑定では何でも詳細がわかる。
2. どの出生図でも亡くなる場所と日時を具体的に特定できる。
3. 出生時刻を4分間違えるとアセンダントが1度変わるのでどんな手法でも鑑定結果は必ず1年ずれてしまう。寸分たがわない出生時刻だけがネイタル占星術では有効である。

1.は何でもホロスコープに出ていると思い違いをしています。

2.を唱えていた人たちは、以前日本にはよくいました。私自身何人かからその類のメールをよく受け取りましたが、この世界に入ってすぐにChristian Astrology Book3は読み終えていたので、(特に第8ハウス、第12ハウスの項)真に受けることはなかったです。

3.は、占い師が自己宣伝でいかに精度が高いかを誇示しているときに見かけるような気がします。確かに出生時刻は正確な方が良いですが、多少幅があっても十分占えることは多々あるものです。

さて、ホラリーでもネイタルでも鑑定では意思の選択はよくあるものです。

例えば今の職場で自分は対人関係の問題を抱えているけれど、退職した方が良いのか残った方が良いのか占ってほしいという鑑定依頼があります。鑑定すると人によっては、宿命的にどうしてももう辞めねばならないと出ていることはありますが、多くの場合、残るか辞めるか選択肢が出ています。仔細を鑑定するものの、最終的にどうするかは鑑定を依頼したお客様がお決めになることなので、鑑定結果に加えてお客様ご自身の選択をご案内しています。

ネイタルの場合ですが、ある時期に危険地帯に出向くのですが、単身で無事でしょうかという質問がくることがあります。これについては、例えばソーラーリターンチャートに危険が明瞭に出る場合と出ない場合があるので、注意して鑑定した方が良いです。私のところではその人の所属する国の春分図と該当国の春分図などを含めて十分占ってからお伝えしています。明らかに悪い表示がある場合はそのままお伝えしますが、どうするかはお客様ご自身がお決めになることです。

ソーラーリターンの場合、大病するとか死に至る可能性が出ていないのに、稀にその年に社会的な影響で大病するとか、死に至ることはあるものです。かろうじて、出生図にその年度には危険に遭遇しやすいことが出ているぐらいで亡くなることがあるわけですが、この場合、マンデンの影響を受けていることがあります。こういうことがあるので、ネイタルを突き詰めていくと、必ずマンデンの知識が必要になるわけですが、ここで意思の選択に話を戻します。

春分図などマンデンの影響を受ける場合、その人は事前に社会との関わりで何か自分で選択していることがあります。例えば周囲が引き止めるのに自ら危険地帯に出向いているとか、悪天候の時にその船には乗らないと決めておけば無事のところを乗ってしまうなど、災害に遭遇しやすい場所や状況を選んでいることがあります。社会状況によってはそれを選ばざるを得ないということもあるかもしれません。

ソーラーリターンとマンデンの関係など、ネイタルとマンデンのつながりについては、11-12世紀のアブラハム・イブン・エズラのネイタル占星術の本TheBook of Nativities and Revolutions(ARHAT出版) に出ています。ロバート・ゾラーのTools & Techniques of the Medieval Astrologer にも同じ箇所のラテン語からの英訳が出ていますが、鑑定の機会に恵まれれば、同様のことは鑑定でも確認できます。私自身も少数ですが鑑定で確認しています。

鑑定で出る情報は良識的に活用しながら、主体的に利用すること、賢明な判断と選択をすることが大事なのだと改めて思います。

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II. ホラリーの鑑定前の考察より 土星第7ハウス
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月がボイドでも、ホラリー占星術の鑑定は可能ですね。古い本や古典の代表的な良書にはボイドの鑑定方法は出ています。占い方があるので知らない人はボイドのホロスコープは占えませんが、これを古典占星術では占えないと言い切ってしまうプロがいるのがいただけないところです。そういう情報には翻弄されないように本物の情報を見抜いていきたいところです。

さて、ホラリーの鑑定前の考察より一つ、最近の傾向を書きます。

第7ハウスに関連しない質問を受けた時で、第7ハウスカスプのサインと同じサインの中に土星が入っていた場合、占星術家は十分な鑑定ができないので通常はホラリーの鑑定をしません。

最近までのホロスコープの傾向の一つですが、MCにみずがめややぎが来るとその支配星の土星が第7ハウスカスプに来ていたことがありましたね。この土星のためにホラリーの鑑定が不可になったことがあるわけですが、いつもながら鑑定不可でも、意味深いホロスコープが出ることがあります。

というのは鑑定してはいけない理由がそこに明瞭に出ているからです。

次のことはくれぐれも誤解のないように、この時期の土星に限ってのこととして書きますので注意してお読みください。第10ハウスの支配星が第7ハウスに来て第1ハウスをオポジットでアフリクトしている時、質問者は例えば仕事や社会性のことで悩んでいます。鑑定不可ということは、その問題を占い師や占いを通して考える段階にはないということです。正に今、占い抜きで自分で対応する時期に突入していると言えるでしょう。

土星は9月にいてに移動するので、ホラリーで第7ハウスに土星が来る場合こうした展開とは違う流れが出てきます。いずれにしてもホロスコープが鑑定不可の場合は、そのまんま鑑定不可です。

古来からのルールや知恵は実に意味深いです。鑑定と勉強を重ねる中で理解を深めることが大事だと思います。

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III. 古典占星術通信講座の御案内
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入門編のテキストを8月21日付けで少量増刷しました。
入門編は占星術の歴史、天体の動き、古典とモダンの違いの要点を要領よく勉強する上でかなり良い、という感想をよくいただきます。

初級編I、IIはたいへん重要な知識が集中しています。これを勉強し終えると一つのまとまった知識が自分の中に出来上がります。

中級編Tでホロスコープの翻訳に慣れたら、ホラリーでもネイタルでも勉強できる状態です。

現在、ホラリーとネイタルについて、各々入門編を準備中です。
ネイタル入門編を先に開講する予定です。
開講までもうしばらくお時間をください。

古典占星術の通信講座のご受講をお待ちしております。
詳細はこちら:http://www.starmedia.ne.jp/school.html
9-10月、水星はてんびんです。てんびんには「新しい」という意味もあります。

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★☆★ 編集後記 ★☆★
・ いつもスターメディア通信をお読み頂きありがとうございます。

・ 6月にクリスチャン・アストロロジーBook3の和書が出版されました。
お手にされた方、多いのではないでしょうか。今後Book1,Book2も出版されるそうなので、今後が楽しみですね。

・ 古典占星術を教える立場としては引き続き原書推進です。

・ 東京はここ数日秋並みの涼しさですが、西日本などはまだ暑いようですね。
季節柄、皆さま、お体を大切にお過ごしください。
・ これからもよろしくお願い致します。
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◆次号第60号は2015年9-10月頃にお届けする予定です。◆
 それまでにメールが発行される場合は、臨時増刊号になります。
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スターメディア通信 2015.8.31.第59号
発行責任者 森谷リリ子
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