エレメントとフィルダリアのこと
 ペルシャ占星術のFirdariaは、フィルダリアと発音します。ペルシャ人の名前にフィルダウシがありますが、冒頭のスペリングが同じです。

 2007年に私はフィルダリアを鑑定に導入したのですが、当時、一部の人たちから、フィルダリアはギリシャ占星術だ、と指摘されました。また、ロバート・シュミットが翻訳したアブ・マシャーのフィルダリアの部分を丸ごとどこかのサイトにアップしたものがあり(プロジェクト・ハインドサイトに版権があるのに!)、それをそのまま鑑定結果に書くだけで事足りるのではないですか?という意見がありました。この主張は、アブ・マシャーの翻訳だけでなく、ロバート・ゾラーが噛み砕いて書いたフィルダリアの説明も実際には全く知らない、あるいは、自分で確認していない、ということです。2006年頃、私はアブ・マシャーやゾラー、Gunzburgの本を参照して鑑定方法を調べましたが、それ以外に、アラビアやペルシャ関係の歴史の情報を元に、フィルダリアがペルシャ占星術だということを確認していました。実際にフィルダリアで鑑定をする際、私は出生時刻をお客様に教えていただくか、確認をしています。フィルダリアは個人の出生図を鑑定するものです。

 エレメントに関してです。
 西洋占星術の4つのエレメントは、火・地・風・水ですが、より古い時代の西洋のエレメントは火・土・風・水のようです。これは物質を構成する元素は何かという考えに基づいていたからです。西洋占星術のエレメントでは、土(earthy)ではなく、地(earthly)としています。

 西洋占星術の4つのエレメントは、次のような性質をもっています。

  火のサイン(おひつじ しし いて)       熱 乾
  地のサイン(おうし おとめ やぎ)       冷 乾
  風のサイン(ふたご てんびん みずがめ) 熱 湿
  水のサイン(かに さそり うお)        冷 湿

 アブ・マシャーのOn Solar Revolution II には、フィルダリアの基本的な解釈が出ています。この中には、天体のエレメントを考慮したとしか思えない解釈が何箇所かに見られ、考えさせられます。例えば、月が支配する期間で土星が関与する期間では、熱による不調があり、火や熱湯による損害が生じやすいこと、月が支配する期間で火星が関与する期間では、水の害が生じやすいこと、などが出ています。この部分に関しては、サインは考慮されておらず、その期間を支配する天体の影響だけでこのような解釈がされています。

 最初の月と土星の期間では、月が支配する長期間の中に、土星が関与してくるのですが、そこで熱が出てくるのですね。土星は、ししやかにではデトリメントになる天体ですが、火と風のサインではトリプリシティのディグニティをとります。ドロセウスのディグニティでは、土星は火のサインで昼も夜も第3トリプリシティです。火と風のサインは、熱をもつサインで、そこで土星は力を持つわけですから、このトリプリシティのディグニティを考えても、月の期間に土星が来ると、熱を持ち込んできそうだということは想像できます。

 火星が支配するさそりでは、月はフォール、月が支配するかにで、火星はフォールです。ホラリー占星術の場合、デトリメントよりもフォールの天体の方が悪い作用を強めることがありますが、サインにおいて月と火星はこのような関係にあります。フィルダリアで月が支配する期間に火星が関与すると、水の害が生じやすいとしていますが、反対に、火星が支配する長い期間に月が関与する期間はどうなるかというと、悪いことに遭遇しやすく、居場所を失いやすい、あるいは家の管理で出費しやすいなど、起こりやすいとしています。どちらにしても、月と火星が関与する期間は、身辺により気をつけなければいけないようです。

 占星術では、月と火星、あるいは火星の悪い影響の一つに、狭量があります。狭量は、自分にも他人にも悪く作用しやすいです。結果的に、自分の居場所を狭めてしまうわけで、悪いことは起きやすいのだと考えることができます。しかし、月と火星の組み合わせは、勇気や活力も表しますから、心の中でどちらを選択したらいいのか、選べることが多いのだろうと思います。

2010年5月19日 新規

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