春分点の星座の話
現在、春分点は魚座にあります。
下図は、2012年6月4日、おひつじ0度に位置する星座を描きだしたものです。地上から見上げた図です。



春分点とは、太陽が赤道の南側から北側に移動する際に通過する赤道上の点で、黄道と赤道の交点の一つです。

春分点は歳差運動(約25800年)により毎年移動しています。ギリシャ占星術が誕生した頃は牡羊座0度付近にありましたが、現在は魚座に移動しています。


黄道を一巡して調べると、蠍座と射手座の間にヘビ使い座が少し入り込んでいます。ヘビ使いの足を私が青い線で描きましたが、足が黄道を踏んでいます。ヘビ使い座は、プトレマイオスの48星座の一つです。



黄道12星座の最古の記録は紀元前5世紀のアケメネス朝ペルシャの時代の粘土板にあります。ヘビ使い座を使わないで黄道12星座を使いました。当時は、サイン(宮)は使わずに、星座そのものを使い、主要な恒星を目印に30度区分にしたのです。これをサイドリアルゾディアックといいます。ヘビ使い座の足に太陽が位置しても、蠍座か射手座を使ったということです。(ヘビ使い座の足先の恒星シータは、メソポタミアでは射手座に属していたかもしれないという断定できない説があります。)

仮に春分点がヘビ使いの足に来た場合ですが、現代の天文学を使いながら、古い時代の考えに習って読むなら、蠍座か射手座になるでしょう。

メソポタミアの知識と、エジプトの知識がギリシャで融合して、黄道12星座を使うトロピカル方式(12サイン=トロピカルゾディアック)が使われるようになりました。当時牡羊座0度付近に春分点がありましたが、同じ頃に、春分点の移動がヒッパルコスにより確認されて、サインと星座は区別されるようになりました。


さて、かなり後の時代になって、「人類は春分点の星座の影響を受ける」という考え方が出てくるようになりました。現在は、魚座なので、魚座の影響が出るという考えです。

これに関連して、現代を宝瓶宮時代だと主張する人たちがいます。現代はみずがめ(=宝瓶宮)に春分点が位置しているというのです。考え方は、牡羊座0度とおひつじ0度が丁度重なった年を基点に、歳差運動の周期を12等分して、最初の1/12を双魚宮、次の1/12を宝瓶宮として、歳差運動の周期÷12年ごとに時代が変わるのだとしています。彼らは天文学的に、現代、春分点が魚座に位置していることを認識しています。水瓶座に本当に春分点があると思っている人たちとは、全く別です。

しかし、この宝瓶宮時代の考え方は、古典占星術とは、無関係です。

サインは、春分点をおひつじ0度とした黄道上の目盛りで、歳差運動の影響を受けないのが特徴です。私たちは、太陽を中心とした太陽系の天体の影響を強く受けながら、命を育みながら生きています。春分の日は農業では無視できない大事な日であり、占星術で基点となる重要な日です。


新規 2012年6月11日


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